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 社会問題を正確につかみ、認識しよう。 
 
 著者の大沢真知子さんは労働経済学が専門。今回初めて大沢さんの本を読んだ。

 ここで書かれていることは、必ずしも今の日本の「ワーキングプア」問題は必ずしも労働者本人の自己責任ではなく、社会の仕組みがそのようにせざるを得ない方向へ仕向けられているということだ。それも原因はひとつではなく、沢山の要因が絡んできている。例えば、欧米のパートタイマーは「ただ単に労働時間がフルタイマーより短い労働者」で、「女性の独身時代と子供が大きくなってからのキャリアをつなぐブリッジ(橋渡し)の役割をする就業形態」であるのに対し、日本のパートタイムは主婦パートが原型になっているという根本的な違い(68ページ)や、「日本のセーフティーネットが職を失ったひとに対して十分機能にしていない(中略)多くの先進国では失業保険の非加入者のために失業扶助という制度が設けられている。そこから生活費が支給されるので、求職活動をおこない、諸釘行訓練を受けることができる。ところが日本にはそのような失業扶助制度が用意されていない。」(9ページ)ということだ。今のところ、経済的な安定が自立した生活を送るための大きな柱になっている以上、何らかの形で収入を確保する手立てを持つ必要があるのだ。

 もちろん、たんなる社会の制度だけでなく「相談者の特徴としては働く場で、自分を大切にされたり、尊重されたりした経験が少ない、ということがあります。日雇い派遣に典型的ですが、働く場で使い捨てられてることが当たり前であるため働くことを通して自身を持つという経験が少ないわけです。」(14ページ)、『経済的に困難を抱えるひとびとが、将来に対して悲観的になったり「がんばっても仕方ない」といういう考え方を持っているとすれば、それは、かれらをそのような考えに向かわせた社会の仕組みの問題であるという認識が広まったからである(阿部彰2008、100ページ)』という、かなり深いことまで掘り下げて書かれている。そして、「さらに、不安定労働にしかつけなければ、結婚して所帯を持つことはむずかしい。婚姻率と雇用の安定の間には大きな相関関係が見られる。」(112ページ)と書かれ、ワーキングプアが大きな社会問題であることが示されている。そして、日本の特徴として、「一生懸命働いても食べていけない」(101ページ)が挙げられている。今まで確かに「貧困」というと、働く場所がない、とか十分な給料が払われていない、という印象があるのだが、これは新しい要因、しかももっとも困る、面倒で大変な要因だろう。

 他にも、韓国やヨーロッパの現状にも触れられ、この貧困問題が日本だけの問題でないことがわかる。

 現状がどうであるのか、ということを理解するにはよい本であるが、個人がこのような現状に対してどのように対処をしたらよいのか?という減ではあまり参考にならない。

日本型ワーキングプアの本質――多様性を包み込み活かす社会へ
大沢 真知子

日本型ワーキングプアの本質――多様性を包み込み活かす社会へ
岩波書店 2010-05-28
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