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 二分割思考は知的退行(付章タイトルより)!知的であるということは謙虚であるということです。(222ページ)

 榊原英資さんによる2007年に出版された本。本全体を通して書かれていることは沢山の問題提起と社会の様々な面が崩壊している、ということである。

 第1章は「子どもの世界は大人の鏡」というタイトルで、18ページには「もともと報道というのは事実をできるだけ客観的に伝えるものだったはずですが、いつの間にか、キャスターやコメンテーターが主観的意見をさしはさみ、しかも、不祥事や問題を起こした人たちを過度に糾弾するようになりました。一体、あなたは何様なのだと私などは腹立たしくなりりますが、大衆の感情をうまくつかみ、一方的に悪人を作り出し、それを叩いて見せる手法はまだにデマゴーグのやりかたそのものです。」、19ページには「世の中で起こる事象は白黒はっきりしないものであり、それに対する評価もまた相対的なものです。テレビにそうした意識が欠落してしまったと言いたいのです。どんなできごとであれ、誰か一人あるいは一つの何かに一〇〇%の落ち度があるケースは極めてまれで、本当は無数のグレーの濃淡があるだけです。ところがそれを一方的に白だ黒だと決めつけて、黒を痛めつけるというパターンが繰り返されています。」20ページには『売れっ子のタレントが後輩の若手に水をぶっけkたえり、縄で引きずったりするのがお笑いの定番となった。これはもうフィジカルないじめそのものです。このような番組を見て、親たちは笑っている。子どもたちに「こういうことは面白いことなのだ」という価値観が植え付けられるのは当然です。かなりの数の親たちはこうしたことを見過ごして、いじめの起きた学校が悪いとか、気づかなかった先生が悪いと訴えます。(中略)こうした二分割的発送は思考の退化であり、人間の幼児化です。日本社会に確実に退化・幼児化現象が起こってきていることに、私たちは本当に気がついているのでしょうか。』と書かれており、影響力の大きいテレビの問題を取り上げている。確かに、テレビを見るときにたいていの場合は娯楽やバラエティ番組を気晴らしのように見ていることが多い。そして、あははと笑ってそれでおしまい。「面白」ければそれでよく、「面白い」の内容が吟味、もしくははっきりと定義された上で示されることはない。もちろんこれには個人的な感覚の違いが大きいところもあるので、ある人には「面白く」感じても別の人にはそのように感じないこともあるからなのだろう。
 著者の榊原英資さんは、144ページで『新聞記者たちはいわゆる識者にあわてて電話をかけ、「何かひと言お願いします」と言う。私も電話を受けた経験がありますが、たとえば専門外の犯罪等についての依頼に対しては「私にはコメントできない。その犯罪の専門家に聞いてください」と答えています。』と対処が示されている。確かに自分の中にないことや知らないことはコメントできないので、とても賢い判断である。
 146ページには「人々はおカネに対する欲望を隠さなくなり、おカネを儲けた人が尊敬を集めるようになってしまいました。そうした拝金主義がメディアを動かし、メディアのほうもカネも受けへの関心に答えようとしています。それがテレビ番組などの歯止めのない質の低下となり、海外メディアでは見られない内容に帰結しているのです。こうしたころは大衆社会にほんのメディアの一つの特殊性だと言えるでしょう。」と書かれており、問題が決して単純で、どこか一つをいじれば解決するというものではないことを示している。

 メディアに限らず、66ページには「子どものしつけは家庭でしかできない」という見出しで『いま「子どものしつけは基本的に親が責任を持つものだ」と思っている親はどのくらいいるのでしょうか。ひと昔前、少なくとも戦前や戦後のある時期までは、「しつけは家庭でするもの」というのが常識でした。ところがある時期から、「学校は子育てに関するすべてを引き受けてくれるところ」と勘違いした親が増えたような気がしてなりません。学校とは子どもに勉強を教えるところであって、しつけをするところではありません。学校では一人の先生が四〇にんから四五人もの生徒を受け持っています。その全員に授業内容を理解させるだけで容易なことではありません。その上、一人一人の心のなかまで入っていって基本的な生活習慣や社会常識をみにつけられることなど、ほとんど不可能です。』と書かれ、家庭や教育面の問題まで触れていて、ここでも一筋縄ではいかない、ということが手に取るようにわかるのだ。でもこれに気づき、対処するすべを持っている人がどれだけいるのだろうか?結局、気づいた人がやるよりほかない、というのが現状なのだろうか?
 また、榊原さんの友人の金澤一郎さんの発言だか著書を引用し、『現実の社会では、ほとんどの場合ものごとには答えがありません。「答えがあると思ってはいけない」と金澤は述べました。さらに「科学では何でも解明できるように思われるけれど、実はまだわからないことのほうが多い。医学も同じで、まだほとんど何もわかっていない」と付け加えています。』と書かれており、確かに現実では、小さなこと、大きなこと両方含めて「必ずこれが正解です」というものはなく、どうしたらよりよい結果が引き出せるのか?これが正しい判断なのか?ということで決断を迫られることが多いはずだ。そして、それはその人の能力や、判断力、置かれた状態によって同じような問題であっても全く正反対の決断を下すのが正しい場合もあるのだ。
 最後に付章として「二分割思考は知的退行」として、自分なりにどのように対処したらよいのか?ということが具体的事例を交えて書かれており、参考になる。より知的なレベルを保ちたい方におすすめ。

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榊原 英資

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