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 この本は、アトランティスの祭司王トートという方が著者で、ドリール博士が英訳し、そこから日本語に訳されている。今回読んだのは、今はなくなってしまった霞ヶ関書房から発行された本で、amazonで調べると、別の方の訳で2005年と2010年にそれぞれ出版されているようだ。訳者の方のはしがきによると「未公開のものを除いては地球上最古の聖典であろう(1ページ)」と書かれている。本の序言によるとトートは紀元前五万年くらいから紀元前三千六百万年前くらいの約一万六千年の間古代エジプトの種族を支配したと書かれている。(7ページ)そして、鮮緑色の12の平板からなり、それぞれ板一枚につき「タブレット1」「タブレット2」…という章に分けられかかれている。本自体はそれほど厚くなく、全体で264ページなのだが内容が濃いので一度読んだだけでは理解出来ない所がある。ただ、古代史や、宗教書を読んでおられる方には重なる所が沢山あるので大丈夫だと思われる。例として、62ページに「悪の話される時、汝、沈黙を守れ。そは、真理は太陽の如く全ての上に輝けりなり。」という文書の解説として「沈黙は金である。悪について語ることは、想像力をそれに向けて悪に生命と現実味を与えることになるのである。」注解として「ここを軽く読み過ごしてはいけない。ドリール先生は単なる噂話もするなと言っておられる。ことばや思いが大きな力をもっているのである。…」と書かれており、昔から金言として伝えられてきたことがここでも言われているのだ。あちこちでほぼ同じような内容が語られているのを知ると、それは人類に与えられた真実、真理なのだろう、と再確認出来るのだ。95ページには「おー人よ、わが知恵に再び聞け。気かば汝もまた生き得、かつ自由とならん。汝らは地よりの者ならず、汝らは無限宇宙光の子なり。」注解として「人間の本質は神の分光であり、神そのものである。だから永遠不死。自由解脱である。肉体そのものは物質的なものであるから一時的のものである。これを知ることが悟りである。」と書かれ、本来の宗教の根源すら見られ、ここでも真理が変わらない、ということを再認識出来るのだ。今現在残っているものや、昔から伝えられていることが正しいかどうか、検証するにはよい本である。

 霞ヶ関書房の版は、いまは中古を探すより他に方法がないが、以前読んだ「ヒマラヤ聖者の生活探求」の素晴らしさに惹かれて選んでみた。この版はタブレットの本文が書かれた後すぐに解説と注解が書かれているので、分かりやすいという方と、読みにくいという方におそらく分かれると思われる。

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