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自分に合ったテレビとのつきあい方を確立させよう。
精神科医の和田秀樹さんによる著書で、2010年8月20日が初版発行日として最後に印刷されているのだが、2010年9月6日で4刷となっており、以外に注目されている本である事が分かる。それだけ多くの人がテレビに注目しているという事になるのだろう。現になんだかんだ言って結局「テレビを見ている」生活をしているのだ。朝起きるとテレビのニュース番組で天気や交通情報をチェックしているし、お昼はお昼で家にいる時はテレビを見ているし、会社でもテレビのある所は見ている場合もある。そして最近は携帯電話でもテレビが見られるものがあるので、それで見ている事もあるのだ。 まえがき4ページに『本書ではあまり一般的に問題にされることのないテレビの罪について、私見・暴論をまじえつつ問題提起していきたいと思います。なお、ここでいう「テレビ」とは、テレビ業界、テレビ局、テレビ局員や業界関係者、テレビ番組など「テレビ的なもの」を幅広く含む概念とご理解ください。』と書かれており、かなり思い切った姿勢で執筆に取り組まれた事が伺える。 38、39ページには『取材を受けていて思うのは、テレビのスタッフというのは本当に勉強していない、ということです。忙しすぎるのかどうか分かりませんが、私が本本に書いたことを事前に読んで取材してくる人はまずいません。(中略)そういう人たちだから、自分たちのしている事が後々どれだけ社会的影響を及ぼすのかについて考えが及ばない。悪気がないのに悪い結果を生んでいるということが、テレビの大きな問題です。負け惜しみではありませんが、「きちんとした人はテレビに出ない」「レギュラーコメンテーターになったら言っていることを疑った方がいい」というのが本当だと私は考えています。』42ページには「テレビは本当の事をはなす人間よりも、自分たちに都合の良い人間を出演者に選ぶからです。」と書かれており、これだけでもう十分に「必ずしも正しい事、真実なことが放送されている訳ではない」ということが分かるのだが、なんだかんだ言って結局テレビを見る生活をしている以上、限られた情報しか入ってこず、むしろインターネットを使ったりお金を払って講演会に行かなければ真実が分からない、という所に問題を感じてしまう。情報が規制され、どこかとんでもない方向へ強制的に導かれているように感じてしまうからである。そして、気付いた時には屠殺場の順番待ち状態になっていたら本当に恐い限りである。そこには「滅びあるいは破滅」以外ないからである。そして、今の日本では少数になってしまったが、インターネットも必ずしも全ての人が使える状態にはないので、インターネットが使えるかどうか、というところで情報の格差が生じる事になるのだ。他にもいろいろと実際にあった事件や報道を取り上げて書かれており、テレビを見ているだけだと以外に気付かないことがあ書かれており、なんだかこれで大丈夫なのか?と不安になってしまうところもあるのだが、「問題提起」という点では十分に役割を果たしているように感じた。そして109、110ページにはフィンランドのテレビについて書かれ『フィンランドのテレビにはバラエティ番組がないというのです。親が5時や6時に帰ってくる国ですから、テレビも家族みんなで見ます。(中略)もちろん、子ども番組はたくさんあって、アニメも放送されています。ただ、日本でやっているような、おバカ芸人が出てきてくだらないことを言ったり、「勉強ばっかりしているのはダサいぜ」というような変な価値観を押し付けたりする番組はありません。』と、何ともうらやましいというのか理想的な状態である。ここでヨーロッパの人たちの「日本人ほど利便性を求めず、多少貧しくても満足度、あるいは幸福感の高さ」を実感せざるを得なかった。そして205ページには「テレビというのは一般論のふりをして、実はかなりの極論を言っている事が多い。ところが見ている側は一般的な意見として受け止めるから、気付かないうちに単純思考の罠にはまってしまいます。(中略)テレビが日本人の知的レベルを落としていることは大問題です。しかし、見る人の心の健康を蝕んでいることこそが、テレビの最大の罪なのです。」と書かれ、締められている。自分なりのテレビとのつき合い方を確立する必要があり、決して情報の鵜呑みは禁物、ということを問いかけてくれる本。 テレビの大罪 (新潮新書) 和田 秀樹 新潮社 2010-08 売り上げランキング : 816 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools 楽天ブックスでお探しの方はこちらから。 ビーケーワンでお探しの方はこちらから。 PR |
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